• もしもの期待があった。鍬を旅行カバンに変えての夢は現(うつつ)に。外れくじが夏野菜の手入れを急がせる。「二度確かめて」に切ない心の動き。

  • 当たったら、の「たら話」が脳裏を行き交う。その「話」は決して世のため、人のためではないことだけは確か。物欲から逃れることのできぬ自分自身も乗せてある神棚。

  • 大当たりして人生を狂わせた人など身近にはいないがそれに似た話はよく聞く。中庸が一番、と胸に言い聞かせて今日を励もう。

  • あれもしよう、これもしようと夢は春野を駆けめぐる。抽選日までのひととき。宝くじとはお金だけではなく夢を買う、と知ったのは収穫。

  • どの町でもよく当たる宝くじ売り場というのがいつも話題になる。買う方も験をかつぎせめて日当たりの良い売り場に足が向く。

  • 阪神淡路、東日本大震災と災害の多い平成だった。この災害復興に宝くじ売り上げの一部が役立てば、との願い。

  • 売り場に並ぶか通りすぎるか。このところ当たったためしがない。「買わねば当たらぬ」と風が耳元でささやく。

  • おみくじは吉兆。買うなら今しかない。新年の占いでもある。今年に賭けよう。

  • 歓喜の瞳は一体どんな形だろう。まん丸か星形か。きっと星形という独創性の感じられることばの発見。

  • 子に勝る銀や黄金があろうか、と昔の歌びとは詠った。ここでは子よりかわいい孫。時々目に入れて痛いかどうかを確かめる。

  • そうだ。外れたと思うより自分のお金で誰かが助かった、と思えば後悔半分

  • たらればの話で我が家は建ち上がる。夢のある話ではないか。人生かく楽しく生きるべし

  • 窓口狭き、は購入者が多いということと当たる確率が小さいことをいう。

  • 望みを摑む確率がゼロではない限り人間は歩き続けることができる。この手に掴む一本の藁は一本の蜘蛛の糸となるかも知れぬ。

  • 家訓は「稼ぐに追いつく貧乏なし」。富クジの頃より一攫千金など口走ろうものなら即勘当もの

  • そうだ。一握りの幸運は多くの不運の上に成り立つ。不運を嘆くまい。誰かが幸せになってくれるなら。

  • 福を呼び込む、ということは案外こんなところから。神さまだって泣き顔より笑い顔がきっと好きだろう。

  • 当たった時のことを考える。誰にも言わず知られず大金を手にする時の絶頂感。想像するだけで楽しい。

  • 人生の指針をはずれくじがポツリと語る。あぶく銭が人生を磨いてくれたことなどこの耳は聞いたことがない。

  • 頭上の昴が崇高に輝く。寒昴はその昔船乗りを導いてくれた。寒昴に縋れば道が開けるかも知れない。

  • この世界を巡る豪華客船の旅、は当たった時の旅プランだった。当然といえば当然だが空くじを手に「母さんや近場の温泉でも行こうか」。

  • 宝くじのために神棚を拵えた人を知っている。手厚く桐箱に入れ朝な夕なに拝まれる宝くじ。

  • 酔いにまかせ当たった話で盛り上がる縄のれん。その中の一人が確立を持ち出し現実に引き戻す。そしてシュンとなる縄のれん。

  • 愛が全て、を証明できなかった離婚騒動も金が全て、が回避してくれる。

  • スタートは常に過去を清算してその地点に立つもの。そうすれば今まで見えなかった空の青さが見えることがある。

  • 時の権力者は高齢者に対して決して太陽の存在とは言えぬ。平均寿命を考えれば宝くじも選択肢の一つ。

  • 何に懲りたかと問われれば当たるはずもない宝くじ売り場に何度も並んだこと。そしてまた今日も懲りない一人となっている。

  • いよいよ現実味を帯びてきた宇宙旅行。それはあくまで科学の世界。でも宝くじ当選の世界が前提となれば話はまたおぼろ。

  • 諦めきれないこの数字。きっと視力のせいかも。老眼鏡でそしてルーペで。

  • なかなか現実を見てくれぬ夫。夢見る夫。この妻の手のぱっくり割れたあかぎれを見よ。