• 主なき柿の侘しさ。実れば実るほどその思いは一層募る。

  • 黄金の波を得心したように見渡す案山子。そろそろお役目ご免か。

  • いつもの季節母からの手紙を添えて来る便り。土の香りと「風邪ひくな」の細い文字。

  • 太陽をいっぱい浴びた柿だから。この柿すだれの光景は先祖代々の風物詩。

  • ヒマワリの国、そして麦の国ウクライナ。人はどうしてこんなにも愚かなのか。揺れる麦に問われる。

  • こめかみの青すじをなだめて生きて来た男の顔はまさしく履歴書。

  • 紅葉という色で秋の訪れ、は一般的だがどんぐりを踏む音で知るとは。耳で知る秋。

  • リハビリの甲斐あり。これからは試歩の杖を捨て一歩ずつ。

  • 木守柿の責任は枝いっぱい実らせること。そしてこの身は一羽の鳥のために。

  • 歓声が聞こえる。こうして土に親しみ大人に近づいていくのだ。のどかな風景。

  • あの日の米つきバッタも当選すれば遠い過去の人。人らはそれらを繰り返し。

  • 田植え機やコンバインは農作業をとても楽にした。収穫の米と一緒にイナゴも。昆虫食時代の先駆けに。

  • 風が運んでくる命。気流に乗ってどこまでも。風媒花の代表。

  • 実りを待っているのは人間だけではない。カラス、イノシシ、そしてノワケも。

  • ふる里の柿の色は夕焼け色。そして遠くから「ごはんだよ」の母の呼ぶ声。

  • あの時があったから今がある。それは演歌歌手だけではない。僕も私も。

  • カラスは知恵者。そして人のものを横取りする煩悩多き鳥。

  • 実らぬものの代名詞、それは初恋。しかし、気まぐれなキューピッドも。諦めることなかれ。

  • あのキャタピラーの下に麦の一粒ひとつぶ。麦は時に人類さえ。歴史に学ばぬ哀れな人類か。

  • 一年の始めの決意が墨たっぷりの文字の太さに。貰った人もまた決意新たに。

  • 記帳するたびに労働の価値を確認。金利は当てにならないが流した汗に正比例する残高。

  • 天才と言われる人ほど隠れた努力を怠らない。水鳥の水面の下の水掻きもせわしなく。

  • この飛翔体一つでどれほどの食糧が賄えるのか。国民の目はうつろ。

  • 「働く」ということばはこの木にも言えるのか。いっぽんの働き者の木にはリンゴがたわわ。

  • 「やっぱり友だちのままでいましょう」の別れことばほど切ないものはない。

  • 食糧危機とか自給率とか。虫食い状態の耕作放棄地、国の姿勢を稲穂に問われ。

  • 収穫の米を両手で掬ってみた。手にずっしりと。「地球儀が傾く」の表現は秀逸。

  • 頭を垂れるのは稲だけではない。雑草と言われる私もまた。

  • 果たしてこの星に平和など来るのだろうか。人類の歴史は戦の歴史ということをつくづく。

  • 同じ意味でも表現の仕方で。「丸い卵も切りようで四角」はいつの世も。