海辺の村にはこのような光景が。干されて軽くなった分濃縮された旨みが。
八月の多くの犠牲の上の終戦日。そういえば精霊流しも海に向けて。
どうして遠くへ行ってしまったのかサンマ。いつも庶民の味方がこのところ高級魚。
海の男は燃える思いを海のカモメに託す。そして男は吉報を加えて帰るカモメをひたすら待つ。
ありったけの色を混ぜれば海の色。ありったけの悩みも聞いてくれる海。
そういえば海のガタは美肌にも効果あり、とか。その他水虫にも。命の源は海にあり。
海に散った兵士の涙で青さを増した海。できるだけ長く語り継がねば。
母の胎内はたゆたう海。海に生まれて海に帰す。
何でも海は再生させてきた。それにも限度というものが。じわりと熱を帯びてきた海。
海は宝。その海に糧を求めた一人の男。男は祖父。祖父の顔に刻まれたものは。
のたりの海より牙むく海が歌にも絵にもなる。時化が育てる人生一路。
まるでジュワッと音立てて沈みそうな夕日。愛の告白を見届けてのことだろう。
母のように何もかも受け入れてくれる海。そういえば「海」の字の中に「母」がいる。
中国の反発を受けている処理水。どの国も海のような寛大さをと願う日本。
あれから十二年が経つ。何事も無かったような青い海の底には大震災のかけらも。
どんなに理不尽なことをされても全てを受け入れてくれる海。こんなに甘えていいものか。
じっと人類の愚かさを見ていた海。この海の底には名も無き水漬くかばねが。
くじけそうになった時、背中を押してくれた海鳴り。この海鳴りと父の声が重なる。
どうして人や政はこんなにも海に対して傲慢なのか。黙す海もいつしかしっぺ返しを。
貝がらはどうして海の声を発することができるのだろう。それは海を子守りの歌と聞いたから。
大きな水柱と渦を作って沈んで消えた軍艦。八十年経った今でもあれは嗚咽か海鳴りか。
ときどき人間の海に溺れそうになる。そんな時は犬掻きでもいい。必死に手足を動かし今が。
遠き島よりの使者、やしの実。島の便りが届いていないか渚の浜辺。
海にどれだけの悲しみを抱かせたのだろう。今年も八月一五日が巡る。
いつまで続くのだろうこの戦。人類の果てしなき愚行。神の手に委ねるしかないのか。
目を閉じて思い出すのは故郷の海の青さと母の顔。帰りたし、今一たび。
旅の宿では耳にも鼻にも旅の実感。そういえば宿の膳は口を喜ばせた。五感総動員の旅。
うみに生まれて海に帰るべし。永遠の眠りは海に抱かれて。
あらゆるものを浄化してくれる海。こんなに海に甘えていいものか。
太陽が海から出でて海に沈む、を見ることができる島国日本。今日も一日お疲れ様の太陽と海。