• 色々とあった来し方。その色々が箪笥の引き出しを軋ませる。行く末は平穏に。

  • あの頃の働き手はもうみな高齢化の真っただ中。子も孫も東京へ東京へ。

  • 地平を染める夕焼けは明日の天気を約す。鎌を研いで明日の段取りを。

  • 春田を耕す春耕の季節。今年は何を播こうか植えようか。納屋の鍬が待っている。

  • 補聴器は時々雑音をろ過して届ける。その雑音にこそ街の本音が隠される。

  • 「電話でお金は全て詐欺」だというのにどうして続く詐欺被害」。それは寂しい人が多いから。

  • 土中八年地上七日の蝉。まるで薄命の代名詞の声を八十八回目の夏に聞いて生きている。

  • 母の鼓動を波の音と聞いた子の寝息。やっとひとりだけの時間が。

  • 昔はこうではなかった。耳は二つ、口は一つと教えてくれたのに。聞くことの大切さを改めて。

  • このところ何が正しいのか物差しが戸惑っている。大仏様はどうか。声が聞きたし。

  • 山のてっぺんを目指すいく筋もの道のあと。そのどれを選ぶかは個々の小さな哲学。

  • オールドメディアと揶揄される新聞ではあるが信頼度は揺るがない。私の羅針盤でもある。

  • 一日の終わり。あれこれ相談の扉を開く。ろうそくの揺れの向こうに耳を澄ませば亡夫の声。

  • 私たちの目線に合わせて下さる両陛下。もったいないのことばはそのもの。

  • 世渡りの秘訣は聞き上手。自身を抑え他人を立てて泳ぎきろう。

  • 誰が何と言おうと確かに聞いた開く音。その紺の花びらが有るか無しかの風に揺れ。

  • 人の心を開かせるにはとにかく聞いてあげること。傾聴ボランティアの存在を知った春。

  • あれだけ頭の低かった人が今では。鼻が空に向いている。

  • 作物は作り手の足音が肥やし、と聞いたことがある。その作り手はまた消費者の声に耳を傾けて。

  • 胸にバッジを付けた瞬間曲がった腰が伸び。あの耳は付け耳だったのか。

  • いつ終わるともしれぬロシアのウクライナ侵攻。ロシア大統領プーチンの耳に聞こえるものは。

  • 幼き子の瞳が澄む。汚れを知らぬ耳に届く大人たちの汚れた会話。

  • 物事を知らずして物事を語るなかれ。その物事を知るには耳からの情報を大切に。

  • 合いの手を打てば話も滑るよう。特に自慢話であればなおのこと。

  • 電車内の風景は皆スマホ。子のあのねより大切にものなど果たしてあるだろうか。

  • 能登にとって地震は始まり。その後水害、積雪。自然はどこまでも容赦はしない。おごるなかれ人類。

  • 固い口を開いてくれるのは温もりの喉にやさしいうどんしか。他愛ない悩みもするするとうどんと共に。

  • この雪の下には春待つ大地が。冬厳しければその分弾ける大地。

  • 鳥やイノシシを追っ払うのに忙しかったかかし。今、この静かな環境で耳を傾けるかかし。

  • 今夜の雪はあらゆる物音を消してしまう雪。よくよく耳を澄ませば振り積む雪のかすかな音が。