• 形から迎える新年があってもいい。着物姿で正座してのこの一年の誓いを。東方が明るくなった。

  • ひょっとしたらもうそんな齢に見えるのか。とはいえ青年からの好意は素直に受けるべし。

  • そんなにあくせく働いてどうする。人生は長いもんだと語りかけてくる大きな切り株が。

  • 針を持つ母がこんなにも小さいとは。ずいぶんと苦労かけたなあ。そして今でも。

  • かすかに残る君の体温。今は好意を口にする勇気はないがそのうちきっと。

  • いくつかの疑惑には答えず議長辞任。それでも次には立候補の予定とか。政の何と軽いこと。

  • 考えてみればそうだ。母には大きな座りダコが。大仏さんへのいつくしみが伝わる。

  • 息がかかるほどの近くで時々脱線はするが腹にあるものは全て見せ。

  • 案山子だって立ったままでは疲れるだろうに。案山子さんへの思いやり。

  • 私はここにいますと軽い咳。それなら前席に、ともいえるがそこは複雑。

  • 高さや方向を変えて視点を変えれば真実が。鳥の目よりも虫の目で。

  • 昔、働き者の母さんによく言われた。いつまで座っているの。根が生えるよ。

  • 三年の辛抱だよと石の上。花開くことはなかったが石のように強い信念は宿った。

  • 今まで外にいて気付かなかったが退職後この家の要は確かに妻と知る。

  • ああ、季節はこのようにして移りゆくのか。よくよく見れば葉裏の奥の下葉から見えるもの。

  • 考えてみればこれほど勤勉な働き手はいない。今年の豊作もかかしさんの功績は大。

  • ねえ、聞いて下さい。ろうそくの炎の向こうの母さんに。少し気持ちが軽くなったような仏間の私。

  • 現人神のお声には膝を折り、くだけた話には胡坐姿で。遠くなってしまった戦後。

  • 一つひとつの表情が違う兵馬俑。今にも駆け出しそうな兵馬俑。立ったまま守る人とは。

  • ある日突然、赤の集団彼岸花。この自己主張の群れの向こうに穏やかな野仏が。

  • 会議室の椅子では言えなかった、言わなかったことが円を描くとこんなにも。

  • 今はもう時間も席も思い思いの食卓。だがあの頃は父が座してからの「頂きます」だった。

  • 今宵は月見酒とまいろう。皓皓の月が我が来し方などを語りかけてくる。

  • 自負心の強さが確かに父を支えていた。その父も今は真正面の墓に。父の名が重たい。

  • 地震列島日本。考えてみれば100%安全な地はどこにもない。地中ではマグマ、海底ではプレート。

  • 長い来し方だった、と切り株に座る父。見上げる木はまるで父の来し方そのもの。

  • 故郷は泣きに行くところ、そして元気をもらうところ。そしてどこにも負けないところ。

  • 自分の心と向き合う旅のお遍路さん。まだ答えを見つけることはできないがちょいと一服。

  • がらんとした始発駅。だれもいないと思ったら朝日がどっかりと。前途は明るい。

  • このところの暑さを何と表現していいのか。地球の沸騰化は人類の所業。